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四谷怪談の異空間

シアターコクーンを経てまつもと市民芸術館で公演されている信州・まつもと大歌舞伎「四谷怪談」。観劇中、我々観客が目の当たりするあの『異空間の感じ』をどうにか言語化したいなと思いました。

辿り着いたのが表題です。「四谷怪談」、つまり四ッ谷という『「トカイのトシ、トチ」を舞台にした話を語り継いだ結果、宿命的にそこに刻まれた物語“も”描いていた』という風に見ることもできないかな、と。

怨念、情念、その(トカイの)トチに刻まれた血痕として俯瞰的に表していたのが、『あの感じ』ではないかと思いました。「念」ほど簡単に時間を行き来できるものはないわけで。

さらにまつもと市民芸術館においてはそこに市民キャストが加わったため、『「マツモトのトカイでトカイ人(のフリをしたマツモト人)」も参画している』ことになります。黒魔術的な化学反応を起こしていると言えるかもしれません。

ラストシーンはハレでもありケでもあるように思いました。
伊右衛門でもある我々が迷い込むはヨツヤは地獄か、はたまた極楽浄土か。

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「都会の言霊」と言うとちょっとかみ砕きすぎかもしれませんが。
蛇足ですが四谷怪談じたい、実話ベースではなく様々なお話を組み合わせたどちらかというと空想よりの物語というのも面白いところです。


蛇足ついでにひょうたん島や四谷怪談やメトロポリス(とマツモトくんとGULLIVER)が纏っている「ある種の時代の空気」的なものは、表現者たちによって来年以降も何らかのカタチで我々の元にメッセージとして届き続けるような気がします。元号が変わるまで続くかもしれません。